帯《ほうたい》の下からあらわれたものは、頭のまわりをぐるっと一まわりした傷あとであった。
それを見ると、蜂矢は気絶《きぜつ》しそうになった。
博士は、蜂矢探偵を前にして、いったい何をする気であろうか。
奇蹟見物
「さあ、よく見るがいい。今、金属Qを、この頭の中から取りだすからね」
博士《はくし》は、とくいのようすだ。
それにひきかえ、蜂矢探偵はまっさおになり、失心《しっしん》の一歩手前でこらえていた。もしもかれが、金属人間事件の責任ある探偵でなかったら、もっと前に目を白くして、ひっくりかえっていただろう。
それから先、博士がしたことを、ここにくわしく書くのはひかえようと思う。くわしく書けば読者の中に、ひっくりかえる人が出るかもしれないからだ。それだから、かんたんに書く。――博士は、両手をじぶんの頭にかけると、帽子をぬぐような手軽さで、頭蓋骨《ずがいこつ》をひらき、中から透明な針金細工《はりがねざいく》のようなものを取りだし、それを手のひらにのせて、蜂矢探偵の目のまえへさしだした。
「うーむ」
と、探偵は歯をくいしばって、博士の手のひらにのっている奇妙《きみょう
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