ときのことです」
「それはさっききみが掘りあてたとおり、第二研究室の床《ゆか》の下には、外へのがれる道がこしらえてあったので、いそいでそれへとびこんで、一命《いちめい》をまっとうしたのです」
「ああ、なるほど」
 と蜂矢はうなずき、
「すると第二研究室の床のどこかに、その秘密の地下通路へ通ずる入口があいていたはずですが、それが爆破後、跡をいくら掘ってみても発見できなかったというのは、どういうわけでしょうか」
 この質問は、蜂矢探偵ならずとも、この事件に関係した人々なら、誰でも知りたいことの第一であろう。
「それはかんたんなことです。わたしが先へ、その穴へとびこむ。するとそのあとで大爆発が起こり巨大なる圧力でもって、その穴をふさいでしまったんですな。おわかりでしょう」
「あッ、そうか」
 蜂矢探偵は、思わず感歎《かんたん》の声を発した。そうなんだ。大爆発のときに、それ位の巨大な力が出ることは予想のできることだった。それでそうなることを、どうして気がつかなかったのであろう。

「とにかくこれからきみを、その地下室の中へわたしみずからご案内いたしましょう。さっきのところから入ってみますか。せ
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