とって、蜂矢にあいさつした。
「ほう。やっぱり蜂矢探偵でしたね。わたしをごぞんじありませんか、針目《はりめ》です」
「ああ、やっぱりそうでしたか」
蜂矢は、うれしそうに目をかがやかして、針目博士にあいさつをかえした。
「なかなかご活躍のようですね。とうとう地下室へはいる口を掘りだされたんですね。感心いたしました」
「これは、ごあいさつです」
と蜂矢はあたまをかいて、
「ご主人がいらっしゃるのを知らないままに、わたしが勝手《かって》なことをしてしまいまして申しわけありません。しかし、じつは針目博士は、あの爆破事件のとき、粉砕《ふんさい》したこの研究室と運命をともになすったように聞いていたのですから、もう博士はこの世に生きていらっしゃらないと思っていました。いや、これはとんだ失礼を申しまして、あいすみません」
「やあ、さあそれもしかたがありません。わたしはあの事件いらいきょうまで、姿をみなさんの前に見せなかったのですから、そういううわさ[#「うわさ」に傍点]の出たことはしぜんです。悪くはとりません」
博士は、冷静な顔つきで、そういった。
「どうされたんですか、博士は、つまりあの爆発の
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