て、まる裸になって立っていた。それはもちろんあの爆発のために吹きとばされ、焼かれてしまったものであった。
蜂矢探偵は、なわの切れはしを持って、塀と枯《か》れケヤキとの間や、枯れケヤキと研究室跡の外壁《がいへき》のあったところと思われるあたりとの間をはかったり、いろいろやった。そのうちについに答えが出たものと見え、かれはつるはし[#「つるはし」に傍点]をふりかぶって、大地《だいち》へはっしとばかり打ちこんだ。
そこは、枯れケヤキの立っているところから研究室の壁へ向かって、四十五度ほどななめに線をひき、そのまん中にあたる地点であった。
かれはどんどん掘った。上衣をぬいで、シャツ一枚になって、えいやえいやと熱心に掘りつづけた。それがすむと、シャベルで土をすくって、わきの方へどかした。
自分の掘っている穴の中へ、かれの頭がだんだんかくれていった。ずいぶん深い穴を掘っている。まちがいではないのか。かれは自信を捨《す》てなかった。そして探さ四メートル近くにたっしたとき、かれは穴の中で思わず、
「しめた。とうとう見つけた」
と、思わずよろこびの声をあげた。直径《ちょっけい》七十センチばかり
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