うべきものは、マネキン人形の頭部のてっぺんに乗っている。それを捕《とら》えるんだ!
このような知らせが、長戸検事のところへ蜂矢からとどいたので、検事はびっくりしたが、かねて待っていたことだから、すぐ手続きをとって、警察力のすべてをあげて怪魔《かいま》の追跡《ついせき》と逮捕《たいほ》にとりかかった。
連絡の電波は、四方八方《しほうはっぽう》にみだれとんで、金属Qの行方をたずねまわる。
「いました。金属Qらしい長マントの怪人が議事堂の塔の上にいます」
「なに。議事堂の塔の上に怪魔がいるというのか」
長戸検事は今は金属Q捜査隊長《そうさたいちょう》に任命せられていたので、これを聞くとただちにぜんぶの隊員へ放送した。
「手配中の犯人は議事堂の塔上《とうじょう》にのぼっている。包囲《ほうい》して、取りおさえよ」
命令一下、警官隊は議事堂へむけて突進した。自動車とオートバイとの洪水《こうずい》だ。それに消防隊が応援にかけつける。
選抜隊が百名、いよいよ屋上へ通じている階段をのぼって、塔のもっとも下の遊歩場《ゆうほじょう》へ姿をあらわした。
怪魔は、塔の上で、ぐったりとなっている。やっ
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