と思うと、身ぶるいが出た。
さて島では、その日のお昼すぎに、居住《きょじゅう》の用意がいちおうととのった。そこで探検隊は、本来の仕事につくことになった。
「まず第一にとりかかることは、ラツール記者の姿が消えたという崖《がけ》のあたりを捜索《そうさく》することだ。早速みんなで行ってみようじゃないか」
伯爵団長はそういって、隊員の顔をみまわした。
「さんせい。すぐ出かけよう」
「よろしい。われわれもゆく」
マルタンに同意して、ケンとダビットの撮影班も腰をあげた。
ツルガ博士は、娘ネリの手をやさしくなでて、これからはじまる探検にいっしょに行くようにやさしく説いて聞かせた。
それを横から見ていて、玉太郎は胸があつくなった。こんな少女が恐竜島の探検についてくるなんて、なんという無謀《むぼう》なことかと思った。
「子供は、ここへおいておくんだな。恐竜は子供の泣き声を聞きつけると、よろこんであらわれる。こっちが危険のときに、わあわあ子供に泣かれては大迷惑《だいめいわく》だ。なにしろ生命がけの仕事なんだから……」
そういったのは、すごい紳士モレロだった。彼は顔も口調も、ネリにかみつきそうに
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