った二人だけであるから、こんどの探検にも、つれて来たのである。
 実業家マルタン氏。でっぶり太った実業家らしい人。こんどの探検で、なにか新しい事業を見つけるつもりらしい。
 ケンとダビット。この二人はアメリカ人で、ケンは映画監督、ダビットは撮影技師。この探検のことを聞いて、すばらしい探検記録映画を作るいきごみで加入した。
 モレロ。これは探検家へ一番たくさんの寄附をした人。顔にきずがあり、すごい顔をしている。一くせも二くせもある人物。
 張子馬《ちようしば》氏。中国人で詩人だという。
 この外《ほか》に、水夫のフランソアとラルサンの二人。
 これで十人だ。
 伯爵団長に急がされて、みんなそれぞれの持物を持ってボートの中へ乗り移る。
 張さんが、食糧係で、二人の水夫をさしずして、水やパンなどをつみこむ。こうしてよういは出来た。伯爵が最後に乗りこもうとして舷梯《はしご》に一足かけたとき、
「閣下、ちょっと」船長がよびとめた。
「なにかね」
「さっきお話の恐竜は、あのとき死んだのですか、それとも生きのびたですかね」
「多分死んだろうね。なにしろ首を大砲の弾丸《たま》でけずられてみたまえ、君だ
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