だった。
恐竜島とは、いったいどのような島であろうか。
それについて玉太郎は、前からききたいと思っていた。今もそれをしりたくなったが、ラツールのいうように、今は全身の神経をあたりへくばって前進しないと、どんな目にあうかも知れない。それゆえ聞くのは後のことにして、玉太郎はラツールのあとについて、沼のふちをまわりはじめた。
前方に茶褐色のきたならしい地はだを見せている断崖《だんがい》がどうも気になってならなかった。二人の目は、ゆだんなくその崖のまわりを捜査《そうさ》している。
スコール来《きた》る
沼のふちをようやくまわって、問題の崖《がけ》の下にでた。
茶褐色の土の下から、雑草がのぞいているところもある。大きなゴムの木や、太い椰子《やし》の木が重《かさ》なりあって、土の下に半ばうずまっているところもある。
「玉ちゃん。ふしぎだとは思わないか」
と、ラツールはそれらのものを指して、自分の考えをのべた。
「この島は、わりあいに近頃出来たもののようだ。土が上から島をすべり落ちて来て、密林の一部をうずめたように見える」
玉太郎は、うなずいた。ラツールの説明のとおりだと
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