どうしているだろう。
 玉太郎の胸の中は残して来て、別れ別れになった人々の安否《あんぴ》を気づかう気持で、一杯だった。だから、ダビットのようにあたりまえの景色に気をつかうだけの余裕はなかった。
「あ、あれはなんだ。おい、ケン!」
 ダビットがあわてて叫んだ。
 ダーンという大砲の音がしたのだ。
 ダビットは崖のはしにかけ出していった。そしてその頂上から下を見た。
「わあ、大へんだ」
「どうしたダビ、なんだ!」
 つづいて来たケンがダビットの顔を見た。
 ダビットの眼は大きく見開かれ、口からは泡がふかんばかりのおどろきようだ。
「そんな目はブロンドの漫画にもないぞ」
「そんなんじゃないんだ。見てくれ、あれを、恐竜だ、恐竜と戦っているんだ」
「何、恐竜だって」
「ほら」
 玉太郎ははしり出した。ラウダもはしってダビットのそばに来た。
「うーん」
 ラウダが、さけんだ。
「あれは、モレロさんじゃないか」
 玉太郎もさけんだ。
 ダビットはカメラをとりあげた。
「人道上《じんどうじょう》には反するけれど、絶好《ぜっこう》の場面だ。ケン、ラウダ、玉太郎、早く救助に行ってくれ、僕もすぐあとを追う」
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