いよ。いつかその深い穴にも水がたまるだろう、するとこの流れもその時には止ってしまうにちがいない」
「すると、前と同じになるわけだな」
「喜ぶのは少し早いぞ」
「そうとも、じゃあどうするんだ、ケン」
「一つ希望がある」
「なんです、ケンの小父さん」
「今の岩の変化によって、他にも変化が出来はしないかということだ。たとえば、僕らの頭の上に別の穴があいて、そこから僕らは逃げだせるのではないかという見方さ」
「そんなうまいぐあいにゆくかな。ゆけばよいが、神様どうぞ、そうなりますように」
「待っていたまえ」
 ケンはそろりそろりと岩につたわりながら、歩き出していった。
「ケン、神様は我々に幸せを、およせ下さったかい」
 しばらくしてダビットが訊《たず》ねた。
「まだだ」
 闇の中で返事がかえってきた。
 ケンはそろり、そろりと岩肌《いわはだ》をつたわって穴をさがしているに違いない。
「あった。あったぞ」
「助かったね」
「アーメン」
 一同はほっとした。
「どこだ」
「ここだ。君らのいるところから五六歩のところだ」
 三人はお互いに手をしっかりとにぎりあいながら水の中を歩き出した。


   怪
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