ねる
「太い」
「何をつないでおいたのかな」
「何がつながれているのかと今考えているんだ。まてよ。この太さは、あっ」
「どうしたのです」
「船で使うロープに似ている」
「船がつないであるのかな」
「まさか」
「ケン小父さん、一つひっぱってみましょう」
「うん、ひっぱってみよう」
玉太郎とケンがひっぱった。あとからダビットも張も手伝った。
なにしろ、長い間水につかっていたらしい、ぬるぬるしてなかなか力が入らない。
「よいしょ」
玉太郎が気合をかけた。
「よいしょ」
みんなが、それに和《わ》した。
そのうち水はいよいよ増してくる。けれど四人は水の恐ろしさよりも、この綱をひっぱれば、そこに何か表われるものがあるように感ぜられたので、一心に力を合せて引いた。
「おい、ちょっと待て」
ケンが一同のかけ声をとめた。
「あれを聞け、音がする」
みんなは、いきをのんだ。
ゴボ、ゴボ、ゴボ、ゴボ。
かすかだけれど水の流れる音だ。
「綱を引いたので、どこかに穴でもあいたにちがいないな、ケン」
ダビットの声はうれしそうだ。
「もう一ふんばりひっぱりましょう」
玉太郎も喜びにふるえている
前へ
次へ
全212ページ中153ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング