損だ……はて、どうしたら、あの岩のあるところまで、安全に行けるだろうか……」
ラツールはマルタンにかいほうされることになった。
玉太郎はケンから相談をうけて、このさい、伯爵の安否をたしかめるため、あの中段の崖から下へおりて、海水がみちている崖下をさがすことになった。
これは人道上、どうしてもやらなくてはならない仕事だった。
これに参加したのは、ケンと玉太郎の外に、冒険好きのカメラマンのダビットと、あとから救援に来た張詩人であった。
四人は恐竜を気にしながら崖下へロープを伝わって下りていった。
恐竜はおとなしく、昼寝をしているように見えた。
波がばさばさと洗う岩根をふみしめながら、四人は伯爵の姿をもとめて、先へ進んだ。
いつもケンとダビットが先に立っていた。この映画班は、時々撮影をやった。これはもちろん商売であった。貴重《きちょう》な収穫《しゅうかく》だ。そういうときには、玉太郎が先へ出た。
玉太郎が先へ進んでいるときのことであったが、波の岩のくぼみに、一つのされこうべが捨ててあるのを発見した。
「あっ、されこうべだ。伯爵のされこうべ……」
伯爵は恐竜にくわれて、こん
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