て、その向うには、どんなすさまじい光景が待っているであろうか。


   恐竜《きょうりゅう》の洞窟《どうくつ》


 なにがすごいといっても、こんなすごい光景は見たことは、玉太郎にとって、はじめてのことだった。
 いや、玉太郎だけのことではあるまい。大胆《だいたん》なアメリカの映画監督のケンもダビットも、すっかり顔色をかえてしまい、しばらくその場に立ちすくんで、ひとことも口がきけなくなったことによっても知れる。
 年をとったセキストン伯爵にいたっては、もう立ってはいられず、四つんばいになって岩にかじりつき、わなわなとふるえている。しかし伯爵は、ふるえながらも、岩のむこうを熱心にのぞきこんでいる。こわいもの見たさとは、この場の伯爵のことであろう。
 四人の探検者の心を、かくも恐怖のどん底においこんでしまったすごい光景とは、いったいどんなものであったか。
 それは、一言でいいあらわすなら、彼ら四人は、とつぜん「恐竜の洞窟」の見下せる場所へ出たのであった。
 四人がかたまっている足もとには、岩があったが、そのむこうは、大きな空間がひらけていて、明るく光線もさしこんでいた。それは巨大なる洞窟
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