が、強くコダマをして聞えた。今までは、大したはんきょうもなかったところを見ると、監督ケンの立っているところあたりは壁体の性質が急にちがってきたのであろうと、玉太郎は思った。冷え冷えとした気候が、少年の頭脳のはたらきを、久しぶりにかいふくしたように思われた。
 快報だ。
 この噴火口のとちゅうにおいて、横穴があって、それが外まで抜けて、日の光がさしこんでいるのであろうと、誰もが思った。
 一同は足をはやめて、監督ケンの立っているところへ急いだ。
「うわーッ。すごい……」
 悲鳴《ひめい》ににたケンのさけび声に、一同はおどろかされた。
「おーい。来るのは、ちょっと待て」
 ケンがそういった。
「どうしたんだ」
 ダビット技師が、おそるおそる聞いた。
「どうしたといって、恐竜が、たくさんいるんだ。ええと五頭、いや六頭もいるんだぞ。目をまわさない用意が出来た上でないと、ここまで来て下をのぞいてはいけないよ」
 六頭の恐竜がいるという。それが白日《はくじつ》の光をあびて集まっているのでもあろうか。
「えええッ」
「うーむ」
 と、つづく三人は、恐怖にあおざめ、思わず互いにすがりついた。
 はたし
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