であった。そして洞窟の天井にあたるところが、どこかわれ目があって、そこから熱帯の強い日光がさしこんで、洞窟内を照らしているのだった。
洞窟の中は、一面に青黒い海水がひたしていた。そしてその海水の中に、巨大なる恐竜が、すくなくとも四頭、遊んでいたのである。
一頭の恐竜でも、ぞおーッとするところへ、このふしぎな洞窟を発見し、その中に四頭もの恐竜が一つところへ集っているのを見たのだから、一同が死人《しにん》のように青ざめたのもむりはなかろう。
その恐竜どもは、玉太郎たちが近づいたのに気がついていないようであった。それは彼らにとって幸いであった。もし恐竜がそれに気がつき、玉太郎たちを攻撃しようと思ったら、それはちょっと長い首をのばして、崖の上にいる玉太郎を一なめにすればよかった。また、玉太郎たちがにげだしたら、恐竜はひょいと洞窟の底を蹴《け》って崖のうえにとびあがり、地下道を追いかければ、わけなく人間どもをとりおさえることができるのであった。
が、四頭の恐竜どもは、たがいに仲よくふざけていて、玉太郎たちには気がついていないようであった。
玉太郎は、ようやく心臓のどきどきするのをすこし
前へ
次へ
全212ページ中106ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング