く》、伝染病研究所へ入院させるんだ。いいかネ」
ガチャリと、電話は切れてしまった。こんなに検事が怒った例を、大江山は過去に於《おい》て知らなかった。エトワールの張番がどうしたというのだろう。パチノ墓地というのは何のことだろう?
彼は狐に鼻をつままれたような気持で暫《しばら》くは呆然《ぼうぜん》としていたが、やがてハッと正気《しょうき》にかえって、急いで制服を身につけ短剣を下げると、門前に待たせてあった幌型《ほろがた》の自動車の中に転がりこむように飛び乗った。
「オイ大急ぎだ。銀座のキャバレー・エトワールへ。――十二分以上かかると、貴様も病院ゆきだぞ!」
運転手は何故そんなことを云われたのか解《げ》せなかったが、病院へ入れられては溜《たま》らないと思って、猛烈なスピードで車を飛ばした。
キャバレーには雁金検事が既に先着《せんちゃく》していて、埃《ほこり》の白く積ったソファに腰を下ろし、盛んに「朝日」の吸殻《すいがら》を製造していた。そして大江山課長が顔を出すと、
「ああ大江山君、悦《よろこ》んでいいよ。儂《わし》たちはまた夕刊新聞に書きたてられて一段と有名になるよ。全《まった》く
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