の悪漢どもを叩きのめすような手附きで、オ一《イ》チ二《ニ》イと体操を続けていった。しかしその楽しさも永くは続かなかった。そこには大江山捜査課長の自信をドン底へつき落とすようなパチノ墓地《ぼち》の惨劇《さんげき》が控えていたのであった。昨夜《さくや》起ったそのパチノ墓地事件の知らせは、雁金検事からの電話となって、ジリジリと喧《やかま》しく鳴るベルが、課長のラジオ体操を無遠慮《ぶえんりょ》に中止させてしまった。
「お早ようございます。ええ、私は大江山ですが……」
「ああ、大江山君か」と向うでは雁金検事の叩きつけるような声がした。――御機嫌がよくないナ、「君の部下はみんな睡眠病に罹《かか》っているのかネ。もしそうなら、皆病院に入れちまって、憲兵隊の応援を申請《しんせい》しようと思うんだが……」
検事の言葉はいつに似合わず針のように鋭かった。
「え、え、一体どうしたのでしょうか。私はまだ何も知らないんですが……」
「知らない? 知らないで済むと思うかネ。すぐキャバレー・エトワールの地下に入ってパチノ墓地を検分《けんぶん》したまえ。その上でキャバレーの出入口を番をしていた警官たちを早速《さっそ
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