恐怖の口笛
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)逢《お》う魔《ま》が時刻《とき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)東京|丸《まる》ノ内《うち》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)たちまち※[#「てへん+堂」、第4水準2−13−41]《どう》と
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逢《お》う魔《ま》が時刻《とき》
秋も十一月に入って、お天気はようやく崩《くず》れはじめた。今日も入日《いりひ》は姿を見せず、灰色の雲の垂《た》れ幕《まく》の向う側をしのびやかに落ちてゆくのであった。時折サラサラと吹いてくる風の音にも、どこかに吹雪《ふぶき》の小さな叫び声が交《まじ》っているように思われた。
いま東京|丸《まる》ノ内《うち》のオアシス、日比谷《ひびや》公園の中にも、黄昏《たそがれ》の色がだんだんと濃くなってきた。秋の黄昏れ時《どき》は、なぜこのように淋しいのであろう。イヤ時には、ふッと恐ろしくなることさえある。云い伝えによると、街の辻角《つじかど
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