いこつ》だった。そしてそのまわりには丸い金貨がキラキラと輝いている。金貨は地面にもバラバラと散乱している。その側《そば》には一片のひきちぎれた建築図が落ちている。それは痣蟹の秘蔵《ひぞう》の図面《ずめん》に違いなかった。――それ等の凄惨《せいさん》な光景は、一つの懐中電灯でまざまざと照らし出されているのであった。
懐中電灯は静かに動く。――そして函の陰へ隠れている斃死者《へいししゃ》の顔面を照らし出す。まず、目につくのは、鋭い刃物で抉《えぐ》ったような咽喉部《いんこうぶ》の深い傷口――うん、やっぱりさっき口笛が聞えたとき、残虐《ざんぎゃく》きわまりなき吸血鬼が出たのだ。帽子は飛んでしまっているが、グッと剥《む》きだした白眼の下を覆う黒い覆面の布。おお、これは先刻《さっき》この地底へ下っていった黒影の人物だった。そして知っている人ならば、誰でもこれがいま都下《とか》に名高い覆面探偵青竜王だと云い当てたろう。ああ、青竜王は殺されたのだ。なぜこんな地底でムザムザと殺されてしまったのだろう。
「いいですか。この覆面を取ってみましょう」
闇の中から男の声がした。それは懐中電灯を持っている人物
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