に、静かに同じ言葉を繰《く》り返《かえ》した。
 丁度そのすこし前、竜宮劇場の赤星ジュリアの室ではまるで何かの劇の一場面のような、世にも恐ろしい光景が演ぜられていた。
 赤星ジュリアは喜歌劇に出演中だったが、彼女の持ち役である南海《なんかい》の女神《めがみ》はその途中で演技が済み、あとは終幕が開くので彼女を除《のぞ》く一座は総出《そうで》の形となって、ひとりジュリアは楽屋に帰ることができるのであった。彼女は自室に入って、女神の衣裳《いしょう》を外《はず》しにかかった。いつもなら、矢走千鳥《やばせちどり》が手伝ってくれるのだが、彼女は臨時に終幕に持ち役ができて舞台に出ているので、ジュリアは自《みずか》ら扮装《ふんそう》を脱《ぬ》ぐほかなかった。
 彼女は五枚折りの大きな化粧鏡の前で、まず女王の冠《かんむり》を外した。それから腰を下ろすと下に跼《しゃが》んで長い靴と靴下とをぬぎ始めた。演技がすんで、靴下を脱ぎ、素足《すあし》になるときほど、快《こころよ》いものはなかった。彼女は透きとおるように白いしなやかな脛《すね》を静かに指先でマッサージをした。そして衣裳を脱ごうとして、再び立ち上ったそ
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