な》でてやった。その声が感じたのか、ジュリアは微《かす》かに目を開いた。そして苦しそうに口を動かしていたが、やっとのことで、
「千鳥さんにも、詫《わ》びてちょうだい。……お二人して……祈ってネ……」
とまで云ったかと思うと、俄《にわ》かに胸を大きく波うたせて、息を引取ってしまった。
「ああ、お気の毒なことをしました。最早《もはや》、御臨終《ごりんじゅう》です」
と医師は脈を握っていた手を離して、ジュリアの遺骸《いがい》に向い恭《うやうや》しく敬礼をした。
先ほどから、ジュリアの身体より遠くの方に遠慮していた雁金検事と大江山捜査課長とは、このとき目交《めくば》せをすると、静かにジュリアの枕許《まくらもと》に歩をうつして、ジュリアの冥福を祈念《きねん》した。
「ジュリアさんの最後の舞台を見てくれましたか」と一郎は二人に声をかけた。
二人は軽く肯《うなず》いた。
「あの最後を飾った素晴らしい踊は、ジュリアが吾れと吾が血潮を吸って、その勢いでもって踊ったのです。今日という今日まで、まさか自分の血潮を啜《すす》ろうとは思っていなかったでしょうに……」
といって、一郎は暗然《あんぜん》と
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