や》十二時、ここへ忍びこんだそうだ。すると、例の恐怖の口笛を聞きつけた。これはいけないと思う途端に、おそろしい悲鳴が聞えた。近づいてみると、痣蟹が自分の服装をして死んでいたというのだ」
「ああ青竜王! するとこれは偽《に》せ物で、本物の方は、やっぱり生きていたのか」
 大江山課長はそういって、大きな吐息《といき》をついた。


   ゴルフ場にて


 大江山捜査課長は後を部下に委《まか》せて、一旦本庁へかえったが、覆面探偵がまだ健在だと聞いて、立っても据《すわ》ってもいられなかった。なんという恐ろしい相手だろう。彼は自分の部下の警戒線をドンドン破って潜入《せんにゅう》し、それからパチノ墓地の秘密などをテキパキと調べてゆくことなど、実に鮮《あざや》かだった。雁金検事が彼の云うことを信用しているのもどっちかというと、無理はなかった。
「強敵《きょうてき》の覆面探偵よ?」
 大江山は今や決死的覚悟を極《き》めた。このままでは、これから先、彼の後塵《こうじん》ばかりを拝《おが》んでいなければならないだろう。
「よオし、やるぞ!」と課長は思わず卓子《テーブル》をドンと叩いた。「第一になすべきこ
前へ 次へ
全141ページ中101ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング