誰のことかネ」
「それはこのキャバレーの主人オトー・ポントスです。あいつがやっていたのでしょう」
「ポントスはどこかに殺されているのじゃないか。いつか部屋に血が流れていたじゃないかネ」
「そうでした。でも私はあのときから別のことを考えていました。それが今ハッキリと思い当ったんですが、ポントスは殺されたように見せかけ、実はこの莫大な財産とともに何処かへ逐電《ちくでん》してしまったのじゃないでしょうか。悪い奴《やつ》のよくやる手ですよ」
「そういう説もあるにはあるネ」
 と雁金検事は、冷《ひや》やかに云った。大江山は検事の反対らしい面持を眺めていたが、
「――それで検事さんは、この事件をどうして知られたのですか。それから今お話のパチノ墓地の物語などを……」
 検事はそれを訊《き》かれるとニヤリと笑《え》みを浮べ、「それは今朝がた、もう死んだものと君が思っている青竜王が邸《やしき》へやって来て、詳《くわ》しい話をしていったよ」
「なんですって、アノ青竜王が……」
 大江山は検事の言葉が信じられないという面持だった。青竜王すなわち痣蟹は、そこに死んでいるではないか。
「そうだよ。彼は昨夜《さく
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