違ってくると、一定時間の後には用紙が変質して自然発火するのじゃ。チーア卿は、さっきの装置で調べると、今飛行機にあれを積んでインド方面へ向けて飛行中だが、見ていなさい、あと三十分で飛行機は空中火災を起して墜落じゃ。泥棒にはいい懲《こら》しめじゃよ」
「へえん、それはそれは……」
ベラントとルスとは、目を三角にして、互いに顔を見合わせた。
「わしは元来淡白じゃ。君たちの要求をもう一度改めて聞いて、すぐそれに適《かな》ったものを売ってあげよう。希望をいってみなさい」
「はあ、それは有難うございます。博士、アメリカの欲しいものは、世界一の物凄い破壊新兵器で、これを防ぐに方法なしというものを頂きとうございますの」
「そうなんです。戦艦と雖《いえど》も飛行機には弱く飛行機と雖もロケーターには弱く、ロケーターと雖も逆ロケーター式ロケット爆弾には弱い、金博士と雖も燻製料理には……いや、これは失礼……というわけですが、ルーズベルトのお願いしたいと申す新兵器は絶対に弱味のない不死身《ふじみ》の手のつけられないハリケーンの如き凄い奴を、どうぞ御提供願いまする」
「そうか。そういうことなら共軛回転弾《きょう
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