共軛回転弾
――金博士シリーズ・11――
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)買取《かいと》る

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|挺《ちょう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)やつ[#「やつ」に傍点]
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     1


 チャーチルが、その特使の出発に際して念を押していった。
「ええかね。なるたけ凄いやつ[#「やつ」に傍点]を買取《かいと》るんじゃ。世界一のやつでなけりゃいかんぞ」
 そしてそっぽを向いて(これからは、何《なん》でも世界一主義で行って一釜《ひとかま》起すんだ)と呟《つぶや》いた。
 ルーズベルトが、その特使の出発に際して竹法螺声《たけぼらごえ》で命《めい》をふくめた。
「あの手におえないダブル・ヴイの三号に、博士を附けて買ってしまえ。第一手段に失敗したら第二手段、第二手段に失敗したら第三手段……。第十手段まで行くうちには、必ず成功するように検算《けんざん》はしてあるからねえ」
 二人のいうことも、この節では前とは大分違って来た。
 そこで特使と特使が、中国大陸の○○でぱった
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