って僕の手を強く握った。
後になって、あのときどうしてその爆発が起ると分ったんだと帆村に訊いたところ、彼は涼しい顔をして、
『まさか君は、時局柄君自身が狙われていることを知らないわけではなかろう。ああいう変な音響を耳にしたときは、すぐさてはと感じなければいけないんだ。これからもあることだ。変なことがあったら、すぐさてはと考えて、そして思いあたるところがあれば、すぐさま逃げだすようにしないと、君の生命は危いぜ』
『うん、それは分った。だがあの爆発は、どんな仕掛だったのかね。キップの装置がどうしたんだ』
『キップの装置といえば、水素瓦斯の発生器じゃないか。それが屋根裏で、ぶつぶつと水素瓦斯を出しているんだ。そこへ火をつければ、大爆発が起ることは、誰にも分る。ことに水素瓦斯に空気が混っているときは、その爆発は更に激烈なものとなる。――だから、君を狙う敵は、電流仕掛で水素瓦斯に点火して大爆発をさせたんだ。僕は焼跡に駈けつけて、水素瓦斯に点火するため二本の電線が屋外に引張られていたのを発見したから、これに間違いはない』
毒瓦斯
『ホスゲン瓦斯の中毒で殺られたんだとさ』
と、帆村
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