小文字]とCの注射も亦例の如し。大三十日以来腹ヤミにて、夜も元旦朝も起され、たいへんだった由。巷に汎濫する食料品のいかがわしさ以て知るべし。
◯夜は親子六人、八畳の炬燵を囲んで、雑誌や動物あわせに賑かに更けて行く。いいお正月だ。何はなくとも、また前途に何があろうとも、今夜ばかりは。
◯江戸川乱歩氏は几帳面に一号館書房の印税割あてを送って来て下さる。二千八百二十六円也。これ本年初収入なり。


 一月二十三日
◯新春以来漸く冬籠り生活に落着く。
◯血痰は週に一度は必ずあり、但しまもなく消えてしまう。以前のように四日も五日も続くわけにもあらず、又量もそのように多くもなく、中|蚯蚓《みみず》の三分の一ぐらいなり。この頃夜間の咳少しくあることもあれど、一体に無し。喀血と称するほどのものに遭わざるは楽なり。
◯この家(若林一七九)を買ってくれと萩原の喜市さんが話に来る。財産税仕払に金が要る由。
◯高橋栄一先生(晴彦の元の先生)を岡東のうちへ世話して間借に及んだところ、このほど岡東の家が進駐軍に接収されることになり、二月十二日までに立退きを命ぜられ、上を下へのさわぎなり。友のために暗涙にむせぶ。入
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