海野十三敗戦日記
海野十三

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)英《ひで》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)官軍民一体化|総蹶起《そうけっき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)後続機に対して警戒中[#「警戒中」に傍点]
−−

[#改丁、左寄せで]

空襲都日記(一)

[#改ページ]

はしがき

 二週間ほど前より、帝都もかねて覚悟していたとおり「空襲される都」とはなった。
 米機B29の編隊は、三日にあげず何十機も頭上にきて、爆弾と焼夷弾の雨をふらせ、あるいは悠々と偵察して去る。
 味方の戦闘機の攻撃もはげしくなり、地上部隊の高射撃もだいぶんうまくなった。被害は今までのところ軽微である。
 これからさらに空襲は激化して行くであろう。そこで特に、この「空襲都日記」をこしらえ、後日の用のため、記録をとっておくことにした。
    昭和十九年十二月七日
[#地付きで]海野 十三

   これまでのことを簡単に

◯昭和十九年十一月一日に、米機の初空襲があった。少数機だった。偵察のためと思われた。[#
次へ
全172ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング