段]
昭和二十二年
一月一日(曇)
◯五十一歳。英は三十九歳。
陽子十七歳。晴彦十五歳。
暢彦十三歳。昌彦十一歳。
養母六十五歳。
◯英、頭痛にて寝込む。
◯例により、炬燵の船長相つとむ。
◯賀状もちらほら入っている。横溝[#正史。探偵小説家]君の手紙を例によりたのしみにして一番おしまいに披《ひら》く。私の処女作「電気風呂の怪死事件」が昭和三年の春の『新青年』に出た頃の秘話(?)を始めてきかしてくれ、なつかしくなること一通りでない。
◯高橋栄一先生夫妻、モーニングに、奥さまは狐の襟巻というりゅうとしたる姿にて年賀に来て下さり、俄かにあたりが眩しく光を放ち出し、これにてようやく新年らしくなった。先生夫妻は麻布本村町の岡東浩君の宅へ転入されしは今から十日ほど前のこと。その礼などいわれる。
◯坪内和夫君来賀。いつも元旦に来てくれる和夫君。一年増しに立派になり、まことにうれしくなつかしく、三十五歳にて逝かれし故坪内信先生の面影がふと一閃、わが目前を過ぎて見ゆるような気がする。地下で先生もにこにこ笑っていられるに違いない。
◯村上勝郎先生、例によって来診、ビタミンB1[#「1」は下付き
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