煌々《こうこう》とつけて土木工事をやっている。近づくと兵隊さんの姿もあり、兵舎のようなものもある。土木工事の小屋にしては今どきたいしたぜいたくなもの、といぶかっていると、これは地下道を掘っているのだった。ゲリラ戦用の地下道で、麻布一番から霞町へ抜ける長いものだという話。ヘえ、そうかいと私は目を見張って改めて現状を見直した。煌々たる電灯の光に、墓石が白く闇にうき出して林立しているのが見えた。亡者たちが、「わしらの眠っている下を掘るのですよ、わしらもいよいよ戦列につきましたわい、はははは」といっているようだ。
坂下へおりて、停留所に佇む。とたんにラジオが警報を伝える。伊豆地区に警戒警報が出たらしい。
折柄、電車のへッドライトがこっちへ向かって来る。古川橋まで駈けて、それに乗る。五反田行だ。
岡東父子の顔が、闇の中に残る。
電車は走り出したが、魚籃《ぎょらん》のところで東京地区の警報発令、車内は全部消灯する。それから全然無灯で闇の中を電車は走る。
日吉坂下で架線の断線があり、停まってしまう。どうなる事かと心配していると、案外早く電気が来て、また動き出す。
清正公前から明治学院の前
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