を通り、五反田へ向かって電車は闇をついて走る。あぶなかしくもあり、何となく勇しくもある。戦闘前進中のようで……。
雉ノ宮の坂を下るとき、右方に電気試験所の焼跡があるので、何か見えるかと思って窓から闇を透かしたが、何も見えない。いや見えた、灯が一つ。不用意の灯、試験所の宿直がそうなら呑気すぎる。
電車は五反田駅前でぴたりと停る。「はい十銭」「はい定期です」乗客はおとなしく、車掌も「気をつけてくださいよ。足もとが暗いですから」といつになく親切だ。下におりたが、さて駅の改札はどこだかわからぬ。焼けてしまった上に、まっくらだからである。
ようやく見つけて、女駅員に声をかける。「切符はどこで売っていますかね」「着駅で払って下さい」で通してくれる。「階段はどこ?」「まっすぐ行って右ですよ、右の壁を伝《つたわ》っていってください」なるほど、と壁をさぐりながら行く。ようやく見当がついた。階段より上がれば、高いホームの上は、案外空が明かるい。乗客が温和《おとな》しく電車を待っている。電車は間もなくホームへ入って来た。乗客がぎっしり詰まっていた。
渋谷で降りる。朝倉、加藤両氏は帝都線であるから、そ
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