子力エンジンを使ってうちこんでいるのだ。
「よく見てごらんなさい。あの長い桿には、端《はじ》というものがないですからね。どこまでも一本ものとして続いているでしょう。あれは蚕《かいこ》が糸をくりだすのと同じ理屈で桿が製造され、そして製造される傍《そば》からああして押し出され、うちこまれていくのです」
全くすばらしく進歩した技術だ、僕は舌をまいて感心のしつづけだ。
そのとき僕は、これは夢をみているのではないかと思った。それはかかる大工事が行われているのにも拘《かかわ》らず、よく工場で耳にするあのやかましく金属のぶつかる音が、すこしもしないのであったから……。
乾《かわ》いた海溝底《かいこうてい》
「ふしぎだなあ、これだけの大仕掛な工事が行われているのに、さっぱりそれらしい鉄のぶつかる音がしない」
僕がそういうと、タクマ少年がびっくりしたような顔で、僕をみつめていたが、しばらくしてやっと分ったという顔付になり、
「ああ、お客さん、昔はニューマチック・ハンマーとか、さく岩機《がんき》だとか、起重機《きじゅうき》だとかいう機械が土木工事に使われていて、たいへんにぎやかな音をた
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