てていたそうですよ。しかし今は、雑音制限令《ざつおんせいげんれい》があって、そういう不愉快な音は出せないことになっています。それに、穴を掘ったり、鉄の棒をおしこんだりする器機も、原子力エンジンから力を出すので、まるで巨人が棒をおしたり、巨人が土を手で掘ったりするように、楽に仕事が出来て、音もしないのです。……さあ、あっちへ行ってみましょう。海溝工事場で、海水をかいだしてもう人間が歩けるようになっている所がありますから、そこを見物しましょう、どんな鉱物が掘りだされるか、おもしろいですよ」
タクマ少年は、ずんずん歩きだす。僕はそのあとからおくれまいとついていく、そこには既《すで》に、丹那《たんな》トンネルのようなりっぱなトンネルが出来ていて、あかるい電灯が足許《あしもと》を照らしているので、すこしも危険なおもいをしなくてすんだ。
おどろいたことは、いつの間に据《す》えつけたか、エレベーターが十台ばかり並んで、しきりに上《のぼ》り下《お》りしている。ずいぶん早い仕事ぶりだ、とても何から何まで、僕には意外なことばかり、昔おとぎばなしで読んだ「魔法の国」に来ているような気がする。
そのエレ
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