の地下街の壁との間に隙間《すきま》が出来るだろう。その隙間から、海水がどっと、こっちへ噴《ふ》きだすおそれがある。なんしろ海面下何百メートルの深海だから、この向こうにある海水の圧力は実に恐るべきものだ。ああ、僕は心臓がどきどきして来た」
僕の顔から血がさっとひいて、皮膚が鳥肌《とりはだ》になるのが、僕自身にもよく分った。
「お客さん、大丈夫ですよ。そんなことは、始めから考えに入れて計画してあるんですから、危険は絶対にないですよ。石炭やガソリンを使った昔のエンジンに、危険はあったにしろ、原子力エンジンになってからは、そんな危険は一つもないですよ。それというのが昔のエンジンは出力《しゅつりょく》が小さいのでそのために能率をうんとあげなければならず、そこに無理が出来てよくエンジンの故障や機関の爆発などがあったんですよ。今の原子力エンジンでは、出力は申し分なく出ます。能率は、低いものでも三千パーセント、いいですか百パーセントどころじゃなくて、三千パーセントですぞ。つまり三十倍に増大して行くんですから、出力は申し分なしです。ですから、昔のように無理をして使うということがない。従って、危険だの何
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