なかったので、そのまま収《しま》ってもらうことにした。
 僕と五人のトロ人は、大ぜいに見送られて出発した。
 それから僕は五人の者に案内せられて、例の不愉快な旅行をつづけた。
「ヤマ族には、影というものがないのですかねえ」
 ビロという若者は、途中でえらい発見をして、僕にたずねた。
 僕はぎくりとした。
「それはね、影のある者もあるし、ない者もあるんだ」
「ふしぎですね。われらトロ族はみんな一つずつ影を持っていますよ」
「そうだろうね」
「なぜ、ヤマ族には、あなたのように影のない人があるのでしょうか」
 僕は返答に困った。
「ま、その訳を話すと長くなるから、しないでおくが、要するにわれわれヤマ族では、影なんかどうにでもなるんだ。一人で五つも六つも影を持っている者もある」
「ほう。それは、ますますふしぎだ」
 ビロはびっくり[#「びっくり」は底本では「びっく」]したようだ。
 僕は、決してでたらめをいったわけではない。物の影などというものは光線の数によって決まるものだ。
 つぼのうしろに、一本の蝋燭《ろうそく》をたてると、つぼの影は一つできる。もしこのとき蝋燭を二本にするとつぼの影は二つ
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