りになっているように見えるのに、僕たちがそっちへ歩みよるに従って、その穴がしずかに後退していくことだった。つまり、前方において行き停りになっている浅い穴が、僕らがそっちへ一歩進めば、穴の底は一歩奥深くなり、三歩進めば三歩奥深くなり、どこまで行っても穴の奥に突き当たらないのであった。
「へんだなあ。自然に穴があいて、通り穴が出来るなんて……」
 僕は思わず感嘆《かんたん》の声をもらした。
 すると僕の前にいたオンドリが僕の方へふりかえった。
「はははは。自然に穴があくわけではない。この器械で穴をあけていくんだよ。君たち人類は、こんな道具を持っていないと見えるね」
 オンドリはそういって、手に持っていた大きな探検電灯のようなものを見せた。それはもちろん電灯ではなかった。彼がそれをすぐ横の壁にさしつけると、壁はとろとろととろけるようになくなって、奥行十メートルばかりの、われわれが立って歩けるぐらいのトンネルがあいたではないか。僕は、トロ族のおそるべき技術力について知り、背中がぞっとした。
 僕たちは前進した。
 約二十分ばかり歩いたとき、オンドリは僕の方をふりかえった。
「いよいよ君に見せた
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