たまえ。こっちだ」
魚人が手をはげしく引っぱった。僕は魚人に引きずられるようにして歩いた、始めはたいへん歩きにくかったが、そのうちに楽になった。しかしかなり抵抗がからだの正面に感じられた。それはまだいいとして、憂鬱《ゆううつ》なことには、あたりがまっくらで、墨《すみ》つぼの中を歩いているような感じのすることであった。
地底《ちてい》居住者《きょじゅうしゃ》
僕は途中のことをよくおぼえていない。あの気持のわるい海底の、そのまた下の泥の中へひきずりこまれていったとき、途中で気を失ってしまったらしかった。
「あ、痛ッ!」
高圧電気にふれたときのようなはげしい衝動《しょうどう》を感じると共に、全身にするどい痛みをおぼえた。それで僕は気がついた。
すると、奇妙なたくさんの声が笑うのが聞こえた。僕をあざ笑ったのにちがいない。
僕は空気兜《くうきかぶと》の中から目をみはった。意外な光景が、前にあった。そこにはあの黒ずんだ海水がなかった。水のない空間が、あかるく光っていた。うす桃色の大きな波が、その空間をうずめて、左右上下にさかんに動いていた。
僕の目がだんだん落ちついてくる
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