つかえないんだ。いや、待った。怒ってはいかんよ、終りまで聞いてくれなくては――」
「だまれ。僕なんか殺されて一向さしつかえないとは、何という言《い》い草《ぐさ》だ。おせっかいにも程《ほど》がある、何というあきれた――」
「いやそこをよく考えてもらいたいんだ。これはなかなか重大なことなんだが、冷静を失うと、もう分らなくなるのだ。いいかね、ミドリモ君。いや、本間君。君がこれから出かけて殺されたとしてもだ――怒ってはいかん、よく考えてくれ――君が殺されたとしても、本当の君は殺されないのだ。分るかね――」
僕には何のことだが分らない。また、腹が立ってたまらないので、分らせるつもりもなかった。
「よく考えてみたまえ。これから君が出かけていって、恐るべき陰謀者と対談中、不幸にも君が相手の手にかかって殺されてしまってもだ、本当の君は死なないのだ、なぜならば、僕とこうして並んでいる君は『二十年後の世界』へ見物に来ている君にすぎないからだ。本当の君はこの世界よりも二十年過去にさかのぼった世界に住んでいるんだ。そうだろう。これは分るか」
そういわれてみると、なるほどそれにちがいない、僕は博士の説に興味
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