をおぼえた。
博士は、僕の顔色が直ったのを早くも見てとったか、その機を外《はず》さず、喋《しゃべ》りたてた。
「つまりだ。今僕と並んでいる君は、本体《ほんたい》のない幻《まぼろし》にすぎないのだ。本体の君は、連続的成長を続けて、やっと青年になりかけのところにいるんだ。だからね、幻の君が……で殺されようとも、君の本体は死なない。ただ君の幻が、殺されたように見えるだけだ。君の生命は絶対に安全である。分ったかね」
分ったようでもあり、なんだかごま化《か》されているようでもあった。僕はそのとおり素直に博士にいってやった。
「ごま化したりしていやしないよ、子供でもこれは分る理屈《りくつ》なんだがなあ。――とにかく君の本当の生命があやうくなるようなことを、君の親友の僕たるものがすすめるはずがないじゃないか。そしてね、なにもかもさらけだしてしまうと、君なる者はいくらこの世界で殺されたって、君の本当の生命には異常がないという真理を、僕は大いに重宝《ちょうほう》に思って、それを出来るだけ利用しようとしているのだ。もちろん他日《たじつ》、君にはうんと報酬《ほうしゅう》を払うことを約束する」
だんだん
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