気がしてならなかった。
その翌日になると、カビ博士は又僕の病室を訪れて、枕頭《ちんとう》に立った。
「さあ、退院だ。わしと一緒に出よう」
「えっ、もう退院ですか。しかし僕は起上ろうとしても、ベッドから起上る腰の力さえないんですよ」
「ああ、そうか。それはまだ磁界《じかい》を外《はず》してないからだ。待ちたまえ今それを外すよ。……さあ、これでいい。起上りたまえ」
博士がベッドの下へ手を入れて何かしたと思うと、僕の身体は俄《にわか》に楽になり、軽くなった。それは病人の安静器《あんせいき》がベッドの下に入っているんだと、博士の説明であった。
その博士は、「今日はこれから君の慰安《いあん》かたがた、君を深海見物に連れて行こうと思う」といって、髭《ひげ》の中からにやりと笑った。
深海見物と開いて、いつもの僕なら大喜びをするところだったが、ダリア嬢たちから深海へ放りこむと嚇《おど》されたことを思い合わして、僕はぞっと寒くなった。
「それは願い下げにしたいですね。僕は深海と聞くと、ぞっとしますんですね」
「心配はないよ。わしの愛艇《あいてい》メバル号に乗っていくんだから、どんなに海底深く下《
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