、わしは免職だよ。それに第一、これは君たち両人の所有物じゃないだろう、両人だけに勝手に処分されちゃ困るよ」
 その声に聞き覚えがあった。それこそ正《まさ》にカビ博士だった。
 カビ博士が救援に駆けつけてくれなかったら、僕は遂《つい》にダリア嬢たちの手であえない最後《さいご》を遂げてしまったことであろう。後でタクマ少年から聞いたところによると、博士は僕の盗難を大学の人からの急報によって知り、ベッドを滑《すべ》り下《お》りると寝巻《ねまき》のまま大学へ駆けつけ、それから捜査に移ったそうである。
「もう大丈夫だ。明日になれば元気を恢復するだろう。そしてもう、学生たちには襲撃されないように万全《ばんぜん》の手配をしてあるから、安心したまえ」
 と、博士は僕を見舞って、こういった。
「先生。もう深海《しんかい》になげこまれるようなことはないでしょうね」
「そんな危険は今後絶対に起こらない。あの凶悪《きょうあく》なるダリア嬢と共犯者トビ学生は、共に本校から追放されたんだから、もう心配することはない」
 遂に放校処分にあったのか。そんならもう大丈夫だろう。しかし僕はどこかに不安の影が宿っているような
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