あたり前の死のように、たちまち意識は消えて、それなりけりとなるのか、どうなんだろう?)
殺されることだけでさえいやな上に、死後のことまでを心配しなければならないとは、なんたる不幸な僕であろうか。禁断《きんだん》の園《その》に忍び入ったる罪は、今、裁《さば》かれようとしているのだ。僕はもう観念した。たとえ針の山であろうと無間地獄《むげんじごく》であろうと、追いやられるところへ素直《すなお》に行くしかないのだ。
僕は、ひそかに仏《ほとけ》さまの慈悲《じひ》に輝いたお顔を胸に思いうかべた。そして南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》を唱《とな》え始めた。もちろん声は出ない、心の中でどなりたてたに過ぎないけれど……。
そのときであった。大きながらがら声で突然|怒鳴《どな》り散らし始めた者があった。その声はトビ男学生の声でもなく、また[#「また」は底本では「まだ」]もちろんダリア嬢のそれでもなかった。その叱咤する声は、だんだん大きくなっていって、雷鳴《らいめい》かと疑うばかりだった。
「……ばかだねえ、君たちは。二度と手に入らない貴重な人間をそんな無茶な目にあわすとは困るじゃないか。死んじまったら
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