のに僕のエネルギーは精一ぱいであった。誰が僕の背中を押して水を吐かせているのか、誰が口論《こうろん》してるのか、頭をあげてその方を見る余裕など全くなかった。
 それでも、時間の経過するにつれ、もうろうたる意識ながら、それがすこしずつ整理されて来るようであった。
 すなわち、僕は盛んに罵《ののし》りあう男女の言葉の意味がところどころ分るようにもなったし、また僕の臀部《でんぶ》にいくども注射針がぶすりと突立てられることも分った。
「なんといっても、あたしの説が正しいと証明されたわけよ」
「いいや、そうはいえない。僕の説の方が正しい。そうでしょう、この実験動物は、正《まさ》に溺死《できし》してしまったじゃないですか」
「それは溺死したかもしれないわ、でもそれはこの実験動物が、目下|腮《えら》を備えていないために、水中で呼吸が出来ないという構造を持っているためよ。溺死しようと、この実験動物が水槽の中で見せた水中動物らしいあのすばらしい運動や反射作用や平衡感覚などはあたしの説を正しいものと証明したじゃありませんか。正にこの実験動物は、水中動物たるの機能を持ち、機能を保持していると断定できる。そう
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