原真帆子」に丸傍点]とが茶店娘《ちゃみせむすめ》となって確かに登場したと思われる。プログラムの上に、彼女の出演の印※[#丸3、1−13−3]を打って置こう。QX30[#「30」は縦中横]は、成功へもう一歩の手前へ立って、ホッとした。振返ってみればよくまァ此の複雑なプログラムから、彼女の名前を拾い出せるようになったものだ。
 さて、いよいよ運命の決まる第五景だ。冷静に、冷静に!
 山賊邸の展望台。怪しげなる囃《はやし》につれて、一隊の唐子《からこ》が踊りつつ舞台へ上ってきた。
「呀《あ》ッ」
 と叫びたいのを懸命で怺《こら》えたQX30[#「30」は縦中横]だった。見よ! 見よ! あの女がいるではないか。敵の副司令が、唐子《からこ》になって、白々《しらじら》しくも踊っているのだ。決った!
 副司令の芸名は、柳ちどり[#「柳ちどり」に丸傍点]※[#感嘆符二つ、1−8−75]
 弦吾は素早く「柳《やなぎ》ちどり」と名前をプログラムから千切《ちぎ》りとって、隣りにピタリと寄り添っているQZ19[#「19」は縦中横][#「QZ19」は底本では「QX19」]同志|帆立介次《ほたてかいじ》の掌《て》
前へ 次へ
全28ページ中22ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング