る。
 誰だ? お千を殺したのは?
 杜はだんだんと周章《あわ》てだした。
 さあ大変である。すくなくとも、彼自身は容疑者の一人として、警察署に連行されるであろう。自分はなにかヘマをやっていないであろうか。待てよ――。
 杜は、裏口の幕をはねのけるようにして、小屋のなかに飛びこんだ。
 彼はそこに今の今まで自分が横わっていた寝床を見た。その隣にはお千の空虚《くうきょ》の寝床《ねどこ》があった。これはいけないと思って、彼は前後の見境もなく、今まで寝ていた自分の寝床を畳んで横の方に近づけた。
 そのとき、寝床の下の蓙《むしろ》の上に、ポツンと赤黒い血の痕がついているのを発見して、彼は驚愕を二倍にした。毛布にも附着しているだろうと思って改めてみると、幸いなことにほんの僅かついているだけだった。彼はそこのところの毛を一生懸命で※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》った。
 蓙の上の血痕をそのまま放置しておくことは、彼の弱い心が許さなかった。彼はナイフを出して、その血痕の周囲を蓙のまま四角に切りとった。
 毛布の血痕と、蓙に赤黒く固まりついている血痕とは捨てては危険である。彼は咄
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