棺桶の花嫁
海野十三
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)爛漫《らんまん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)|眩しい乙女《シャイニング・ミミー》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]
−−
1
春だった。
花は爛漫《らんまん》と、梢に咲き乱れていた。
時が歩みを忘れてしまったような、遅い午後――
講堂の硝子窓のなかに、少女のまるい下げ髪頭が、ときどきあっちへ動き、こっちへ動きするのが見えた。
教員室から、若い杜《もり》先生が姿をあらわした。
コンクリートの通路のうえを、コツコツと靴音をひびかせながらポイと講堂の扉《ドア》をあけて、なかに這入《はい》っていった。
ガランとしたその大きな講堂のなか。
和服に長袴《ながばかま》をつけた少女が八、九人、正面の高い壇を中心にして、或る者は右手を高くあげ、或る者は胸に腕をくんで、群像のように立っていた――が、一せいに、扉の
次へ
全93ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング