小山嬢もそのあとから、しなびた両手をあげた。小山嬢は額《ひたい》に青筋をたてて憤慨《ふんがい》の面持《おももち》で突然|闖入《ちんにゅう》したる背の高い美女を睨《にら》みつけている。美貌の青年は、にやりと笑っている。
美女は、しずかに歩を運《はこ》んで、博士の人形を結《ゆわ》えている綱に、空いている方の手をかけた。彼女はその綱をひいて、博士の人形を室外に持出す様子を示した。
そのとき、美女はわずかの隙《すき》を作った。
と、実験台の下の腰掛が、風を剪《き》って美女の胸のあたりを襲《おそ》った。が、それは美女が咄嗟《とっさ》に身をかわしたので、うしろの扉にあたって、扉を開いただけに終った。
ズドン。
銃声が轟《とどろ》く。硝子《ガラス》の壊《こわ》れる音。悲鳴《ひめい》。途端《とたん》に又もや腰掛がぶうんと呻《うな》りを生じて美女の顔を目懸《めが》けて飛ぶ。これは美貌の男の防禦手段だった。――が、このときどこからともなく煙がふきだしたと思ったら、カーテンが一瞬《いっしゅん》に焔《ほのお》と化した。めらめらぱちぱちと、すごい火勢《かせい》に、研究室はたちまち火焔地獄《かえんじごく
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