線で模様がついていた。
隅のところに、上から見ると三角形になっている隅の飾戸棚があった。目賀野はその戸棚の硝子戸《ガラスど》をあけた。洋酒壜が並んでいた。
その中は、瓢箪《ひょうたん》を立てたような青い酒壜があった。目賀野はその酒壜の首を掴《つか》むと外に出し、もう一方の開《あ》いた手を戸棚の奥へ差入れた。そして何か探しているらしかったが、すると突然、裸体画のはいった大きな額縁《がくぶち》が、ぐうっと上にあがったと思うと、そのあとにぽっかりと四角い穴が開いた。そしてその穴の中に、地下室へ続いているらしい階段の下り口が見えた。
「臼井。その鞄を持って、こっちへ下りて来てくれ。鞄は大切に取扱うんだぞ」
「はい、承知しました」
目賀野のあとについて、臼井は鞄を持って秘密の階段を下へ降りていった。
下には十坪ほどの秘密室があった。この外にも倉庫や地下道や抜け穴などがあった。目賀野自慢のものであった。
「さあ、鞄をここへ載せて……そしていよいよ赤見沢博士|謹製《きんせい》の摩訶《まか》不思議なる逸品《いっぴん》の拝観と行こうか」
目賀野は、童のようににこにこ顔だ。
臼井が鞄を卓上へ載
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