。これは風船の、呼吸《いき》を吹きこむところと、その反対のお尻のところとの両方に貼る尻あて紙[#「あて紙」に傍点]である。呼吸を吹きこむ方のには、小さい穴を明けて置く、これだけが風船の材料であるが、それを豊富にとりそろえて置く。
 紙風船の作業は、一番初めに、あの花びらのような材料の組み合わせを作る。たとえば赤と黄との二色を、一つ置きに張った風船をつくるのであると、そのような二種の花びらを揃える。それから一枚一枚、すこしずつ外《はず》して並べ、ゴム糊《のり》を塗る。それが一役。
 次へ廻ると、ゴム糊の乾《かわ》かぬほどの速度で、その花びらを一つ置きに張ってゆく。すると台のない提灯《ちょうちん》のようなものが出来る。これが一役で、四五人でやる。
 今度はそれの乾いた分から取って、半分に折り、丁度《ちょうど》お椀《わん》のような形にする。これも一役。
 次は私と五十嵐庄吉とのやっている作業であるが、二人の間に、張型《はりがた》のフットボールの球に足をつけたようなものが置いてある。まず五十嵐の方が、二つに折られて来た紙風船をとって、いきなりこのフットボールの上にパッと被せる。すると私は、オブ
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