のさ」
「骸骨をこしらえて、それをぶら下げて動かすのかい」
「そうじゃないんだよ、僕たちのからだを骸骨にこしらえるんだ。それにはね、まずはじめに白粉《おしろい》で骸骨の骨の白いところをかいてしまうんだ。上は顔から、下は足までね。それから残ったところを鍋墨《なべずみ》か煤《すす》かでもって、まっくろに塗っちまうのさ。そうすると僕たちが骸骨に見えるじゃないか、前から見ればね」
「はだかになって、その上に白粉や鍋墨を塗るんだね」
「そうさ。そうしてね。あそこを舞台にして、その前でおどるのさ。舞台のうしろの壁は、まっくろにペンキが塗ってあるからね、あの前でおどれば、僕たちのからだの鍋墨のついている部分は黒い壁といっしょにとけあって、見分けがつかなくなる。だから白粉をぬってある骸骨のところだけが見えるから、いよいよ本物の骸骨に見えるんだよ。それは、すごいよ。はじめは骸骨はじっと立っていて動かないのさ。胆だめしの当番が鉦《かね》をたたいたら、それをきっかけに、骸骨は急に動きだすんだよ。すると当番はびっくりするよ。うわあと泣きだしたり、縄をひっぱることも、壁に名前を書くことも忘れて、一目散に逃げだす
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